夜半

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扇風機が首を振る
初夏の六畳間。

五月雨が雨樋を伝って
庭の置き石を叩いている。

湿った六月の空気は
埃を被った
思い出の匂いがした。

あの夏の日を思い出す。


そうして
過ぎ去る時の味を
噛み締めながら
扇風機の唸り声を聞いていると
不意に玄関先から
クチナシの匂いが漂ってきた。

雨はもうすぐ上がるようだ。

                       (日常)

6/22/2022, 2:50:51 PM