喜村

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 まだ何もわからなくて、警戒して震えていたね。
 誰かに頼らないと生きていけないのに、誰かを探して小さく、でも、力強くないていたっけ。

「こら、何ニヤついてんだ」

 今じゃそんな弱々しさは感じられない、強気で俺にあたってくるくらいだ。
 昔は、頼れる存在の俺にすり寄ってきたくせに、だ。

「いや~、昔の可愛らしさはどこに消えちまったのかな~って」

 俺は、はっはっはっ、と笑ってやる。
 君は赤面して、口を尖らせてブーブー言っている。
 それでもあの時の、か細く、でも気付いてと生きるために必死だった君のことをたまに思い返すよ。
 俺の可愛い子猫ちゃん。


【子猫】

11/15/2022, 11:29:53 PM