コノハ

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【鏡の中の自分】

鏡に映った自分はいつも、何かを期待してはそれが叶わず落胆している。好きだと思う人に会いに行く。それはプライベートではなく所要で月に何回かある。その人に会えると思うと私の心は浮きだってしょうがない。少しでも変化を感じて欲しくて、不慣れなメイクもその人を想うと今日は楽しく感じた。鏡の中の私も嬉しそう。そんな気持ちを抱え、高鳴る鼓動は緊張も相まって増していくばかり。いよいよ私の名前が呼ばれる。何週間ぶりに会うその人の反応は。期待と不安、緊張とともにノックを一回。扉の向こうのその人は―

結果は期待とは裏腹だった。鏡の向こう、寂しそうな表情の私と見つめ合う。今日もダメだった。こんな気持ちをあと何回繰り返せばあなたは私の気持ちに気づいてくれるのか。それとも気づいているが、気持ちがないから何も言ってくれないのか。寂しい表情は不満気に歪んでく。でも、諦めたくないのだ。今回ばかりは。だから、次はもっと可愛くして、あなたに嫌でも気づかせてやる!そう心に誓って、鏡の中の私と頷き合った。

11/3/2024, 11:15:46 AM