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 私の名前は、岡田 研子!
 長い黒髪が似合う、こう高校二年生。
 最近の悩みは、母親から髪を切れと言われていること。

 そんな私は、オカルト研究会に所属しているわ。
 毎週心霊スポットを調べて、調査結果を校内新聞に載せているの。
 反応も上々で、『ここを調べて欲しい』と私たちの元にいろんな情報が寄せらるわ。

 そんな情報の中で、とても興味深いものがあったの
 それはバス停に現れる長い髪の女性の幽霊。
 雨で視界が悪い日に、車に撥ねられて死んでしまった女性らしいわ。
 
 この幽霊に興味を持ったのは、この幽霊が『走って来る』という点。
 『いつの間にかいた』系の幽霊は良くいるが、『こちらに向かって走って来る』系の幽霊は珍しい。
 想像するだけで、寒気がするわ。

 けれど、気になったことが一つ。
 このバス停、私の家の近くにあるの。
 バス通学なので毎日使っているけど、どういうわけか一度も見たことがない……
 この幽霊、本当にいるのかしら?
 けれど噂と判断するにも、目撃情報が多すぎるのも事実……

 私たちは話し合った結果、この心霊スポットを土曜日に調査することを決定。
 私以外のメンバーは遠方住まいなので、バスで来ることになった。
 いろいろ気になるけれど、土曜日が待ち遠しい。
 遅刻しないようにしないとね。

 ◆

 調査当日、私は寝坊した。
 起きた時には、待ち合わせの時間まであと少し。
 私は急いで支度を済ませ、家を出る。

 だけど、不幸は重なるもの。
 バス停に向かう途中、雨が降り始めた。
 家に戻って傘を取りに帰るべきかを迷う。

 けれど遠くの空は明るく、これはすぐ止む通り雨だろうと判断。
 濡れることも気にせず、そのまま走ってバス停に向かう。

 バス停の手前にあるコンビニまで来た時、バスから仲間たちが下りてくるのが見えた。
 どうやらギリギリ間に合ったようだ。

「みんなー!」
 私は走り寄りながら、声をかける。
 だが――

「「「「きゃあああああ」」」
 私を見るなり、みんなが悲鳴を上げる。
 中には腰を抜かしてしりもちをつく子もいた。

「お化け!」
「来ないで」
「許してー」
 まさに阿鼻叫喚。
 みんな私を幽霊だと思っているようだ。
 なんで――
 
 そこでハタと気づく。
 長い髪、女性、走って来る……
 まさか!

 私は、近くにあるコンビニに走り寄る。
 そしてガラスを鏡にして、自分の姿を見ると……
 なんと、そこにはずぶ濡れの女性の幽霊が。

 幽霊の 正体見たり 私だよ。
 どうりで幽霊を見たことないはずだ。
 だって私だもん。

 心当たりはある。
 遅刻しそうな時、雨の日でも傘を差さずに走る。
 それを見た人間が、幽霊と間違えたのだろう。

 そして脳裏に浮かぶのは、『髪を切れ』という母の言葉。
 母は正しかった。

 私が落ち込むのとは対照的に、空はからっと晴れ渡るのだった

9/28/2024, 11:19:56 AM