裏表のないカメレオン

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いずれ人は永い眠りにつく。
私は介護職員である。
ひとより多く、その瞬間に立ち会う。
灯火が消えるの見送ったら、谷川さんは、おもむろにポケットからピッチを取り出し、おそらく医者にだろう、話し始めた。「もう、準備しといて」あるいはそう合図していたのかもしれない。
寛太さんは慌ただしく、ご遺体のそばを通り抜けると、すでにフロアの闇に消えていた。
私が夜勤に入りはじめてから、こうしてご利用者の死に目にあうことが一度ならずあった。
寛太さんが黒いバケツを持ってきた。そこに当直ドクターも現れて、つと視線を腕時計に下ろす。
「23時10分、死亡を確認」

6/7/2024, 3:51:35 AM