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いつもありがとうございます。
玄関で盛っております。
苦手な方は自衛をお願いします。
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あれ?
隣にいるはずの彼女を求めて腕を伸ばすが、温もりがない。
まだ重たい瞼を持ち上げれば、やはり彼女の姿はベッドにはなかった。
朝はゆっくりするって言ってたはずだけどな。
とはいえ、一度起きたらそのまま活動してしまうのが彼女だ。
ベッドボードに手を伸ばして眼鏡をかける。
あーーーー、……だる……。
眼鏡をかけたものの、気だるさを残した体を起こすのは億劫だった。
ベッドの中で彼女を待つことにしようと決めて、携帯電話に手を伸ばす。
未読が溜まったメッセージを確認していると、荷物の配送を知らせる連絡が来ていた。
現在の時刻は9時半を少し過ぎ。
荷物の時間指定は午前中になっていた。
なんとなく嫌な予感がして、無理やり体を起こした。
俺のスウェットのズボンは床に転がっているのに、近くに置いていたはずのシャツが見当たらない。
その隣でシンプルなデザインの彼女の下着とインナーシャツが、重なり合っていた。
昨夜の俺たちと同様に、洋服も仲睦まじく愛し合っているとは相思相愛がすぎる。
朝から幸せという光を浴びたおかげか、思考がクリアになった。
……。
服が置いてあるだとっ!?
「やばっ!?」
予感が確信に変わり、慌てて下着とスウェットを履いて玄関に向かった。
*
予感のまま終わらせたかったが、そうはいかないのが現実だ。
体の小さい彼女は俺のシャツを着たまま玄関のドアを開けて、荷物を受け取っている。
おみ足がシャツの下からスラリと伸び、きれいに筋の入ったアキレス腱や、膝裏はキュッと色っぽく窄んでいた。
後ろ姿でさえ既に魅力的で溢れている。
「あ、あのっ。よかったら」
人の家の玄関先で、鼻の下を伸ばしている配達業者にデカい舌打ちをかました。
その手に持っている携帯電話でなにをしようとしているのかなんて、想像すらしたくない。
「荷物、なにか不備でも?」
彼女の右手からボールペンを抜き取り、俺の後ろへと隠した。
「ぐえ。れーじ、くん?」
「は? えっ?」
驚きの声をあげたのは彼女も同様だった。
ふたりしてハモるなんて仲良しかよ?
おかげで余計な怒りまで沸いた。
突然現れた図体のデカい上裸の男こと俺に目を白黒させているが、知ったことではない。
彼女は寝ていた俺に気を遣って、荷物を受け取ろうとしただけだ。
ここは俺の家だし、その荷物も俺の名義である。
「その荷物。俺のっすよね?」
「あ、あぁ、はいっ」
怒りで脳みそが沸騰しそうになりつつも、背後にはかわいい天使もいるのだ。
努めて冷静に対応する。
「サイン……は、してくれたみたいですけど?」
「……ぃ、や。いえ。はい。そう、すね」
荷物に問題はなさそうなのでボールペンを配送業者に返す。
「……ご苦労さまです」
心にもない言葉とともに「配達中に靴下がずり落ちてしまえ」という呪いを含ませた笑みを送った。
もちろん、そんな程度で怒りが鎮まるはずもない。
配送業者はさっさと追い返して、ドアを閉めた。
割れ物ではない荷物を適当に手放して、ほうけている彼女の両肩を掴む。
玄関先にもかかわらず、彼女を強引に膝を折らせて床に押し倒した。
「え、ちょ、れーじくん!?」
状況が飲み込めていない彼女にかまわず、押し潰すように舌をねじ込んで唇を奪った。
「ぅ、あっ」
昨夜の情事の余韻で彼女の呼吸はすぐに荒くなる。
品のない水音と乱れた呼吸に耐えられなくなったのか、彼女は俺の胸を押し返した。
弱々しい抵抗に俺の衝動も多少は落ち着く。
薄い彼女の唇を食んでキスを切りあげた。
「玄関を開けるなら服は着てっていつも言ってますよね? 俺」
「き、着てるじゃんっ」
「下は?」
「ちゃんと履いてるっ! ほらっ」
彼女はぺらん、とためらいもなくシャツをめくった。
勢い余って見事な腹斜筋も覗くが、確かに彼女は黒のハーフパンツを履いている。
暴力的なまでの視覚効果に思わず顔を覆って天井を仰いだ。
「…………」
下は自分の服なのかよ。
俺のサイズだとハーフパンツが隠れちゃうのか。
あー……クソ!
ホント、最悪……ッ!
彼女の主張にはとんでもない欠陥がある。
彼女を睨み、感情にまかせてシャツの上から胸を小さく摘んだ。
「み゛ゃあっ!?」
「ノーブラのくせに『ちゃんと』が適用されると思ってます?」
「やめ、っ……」
彼女は腕で顔を隠しながら、もぞもぞと羞恥と刺激に耐えている。
……ホント。
かわいいなあ。
はくはくと切なさそうに唇を動かすから、寂しくないように再び俺の唇で塞いだ。
彼女の口内は温かくて、夢中になる。
身を捩り、体に力を入れて逃げ場のない刺激を持て余して乱れる姿にたまらなく興奮した。
「んん、んぅっ」
玄関先ということすら忘れて、指で舌で彼女を高みへと連れていく。
もっと俺で乱れてほしくて深く熱を与えて、彼女の理性も溶かしていった。
「かわい……」
耳元にちゅ、とキスを落とすと彼女の甘く艶の増していく声に胸が締めつけられた。
独占欲と優越感に塗れた歪んだこんな顔を見せられるはずもなく、顔を隠す口実にして弱い耳元をかまい倒す。
熱の引かない瞳で俺を捉えて睨みつけてきたが、それですら劣情を煽る燃料にしかならない。
「こ……な……、ところで……」
「うん。だから、ベッド行こ」
手を取れば、彼女は素直に立ち上がる。
よろよろぺたぺたとおぼつかない足取りの彼女のペースに合わせて寝室に入ったのだった。
『予感』
10/22/2025, 8:42:03 AM