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『高く高く』

高く高く浮かぶまんまるの月を見て、あなたが柔らかく目を細める。
「綺麗だなぁ」
あなたの言葉にどくり、と鼓動を早める心臓を静めながら、そうですね、と相槌を打った。
あなたがこちらを向いた気配がする。
「この意味は知っているのか?」
今度こそ心臓が大きな音を立てた。
「……え」
「愛している」
あなたの手が私の頬を撫でる。
私といえば、口を開いては閉じてを繰り返して、あなたを見つめるばかりだ。
「その反応は勘違いしてしまうぞ」
いつも通りの口調で、だけど少し声を震わせながら言葉を紡ぐあなたがたまらなく愛おしくて、こくりと頷いて見せた。
「勘違いしても、いいんですよ」 
あなたが声を詰まらせる。
「私だって、あなたのことが…」
全てを言い終える前に、あなたの唇が重なった。
好き、という言葉があなたの口に吸い込まれていく。
さっきまで私の瞳を占領していた月だって、今はあなたに塗り替えられて、形すらも思い出せなくなっていた。
いや、もしかしたら、私の瞳にはずっと前からあなたしか。

毎度恒例好きなカプで書かせていただきました。珍しく現パロじゃないです。
どうぞよしなに。

10/14/2024, 10:21:59 AM