お題 帽子かぶって
登場人物
ももか
無迷(ロボット)
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『綺麗な青空ですね。』
久々の有給。
「うん。空気もおいしい。」
今私たちは山の頂上にいる。
平日に休みを取ったからか人が全然いない。
チラホラ見かけるのは観光客くらい。
働き詰めでお金が溜まった私たちは旅行に来ている。
旅行に行こうと言って用意をしてくれたのは無迷だった。
「無迷ありがとうね。旅行なんて全然行ったこと無かったから。」
『自己管理が出来てないんですよ。
あなたが壊れてしまったら私はどうするんですか。』
ぐうの音も出ない。
『今週はのんびりしなさい。』
「ありがと、無迷もね。」
風が吹く。
私は無迷から貰った帽子がどこかに行かないように押さえる。
「あ、あそこにベンチがある!」
『座りましょうか。疲れてるでしょう。』
「その前に登りきった証拠としてあの看板の前で写真撮りたい!」
私が指さした先には〘 ▓▓山 標高350m〙と書かれていた。
無迷は『仕方ないですね。』と言いながらスマホのカメラを起動させた。
キッチリとした性格だけれど、相手のことを考えれる優しいロボット。
無迷に会えてよかった。
「よし、撮ろ!」
はいチーズ
撮った写真。映りばえは全然良くなかった。でもそれでいいと思えた。
無迷はベンチの方に行った。
私も行かなきゃ。
そう思った瞬間
『あ。』
無迷の帽子が飛ばされた。
ロボットだからする必要ないんじゃない?って聞いた時『確かに必要ないですけど、ももかと同じことをしたいのです。』と真剣な声で言っていたのを思い出す。
帽子がこちらに転がってくる。
手を伸ばせば案外すんなりと取れた。
無迷に帽子をかぶせる。
「はい、無迷。もう飛ばされないようにね。」
私も帽子を飛ばさないようにもう一度頭を押えた。
1/28/2025, 10:49:56 PM