透明な水だとしても。
水面に誰かが触れれば(あるいは春風の精の優雅な瞬きひとつにさえ)世界は一瞬で砕け、波紋は揺らぎ続ける。
沸騰したときぐらぐらと沸き立つ湯気は、空にほどけるまでの束の間、真っ白にみえる。
それに凍らせる前に丁寧に手間をかけてやらなければ、氷の内側は無数の泡を抱え込み霞んでしまう。
ならばどうすれば透明なままでいられる?
誰にも触れず触れさせず、あらゆる干渉を断ち、純粋無欠の精神を保ち続ける術はあるか?
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透明な水
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所感:
ないだろうなあ。
限りなく透明に近い何か…は、やはり透明ではなく。
5/22/2023, 10:21:25 AM