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お題『それでいい』
※二次創作

「ネプちーはベニトのこと心配?」
「ベニトがいなくて寂しいでしょ?」

ベニトアイト。
久しぶりに聞いたその名前に、思わず忘れかけていた思い出がふと頭を過る。
空を眺めるのが好きで、夜にはよくカードゲームに付き合わされた。
そのくせ弱くて、何かと運が悪い。
でも、みんなから可愛がられていて、真面目で。
そして何より、誰よりも青色が美しい宝石だった。
200年以上経った今でも、思い出すのはあの青色。
見回りをしていると、太陽の光を受けてきらきら輝いて、とても綺麗だった。

そんなベニトは、ある年の夏にフォスフォフィライトに誘われて地上を離れた。
月には、青空なんてないというのに。
ベニトを引き立てるあの輝く太陽の光は、届かないと言うのに。
月に行った理由なんて、正直今も分からない。
けれど、きっとほかのみんなと同じように、自ら望んで月に行ったんだと、そう感じる。
だから、何も言うことは無い。
ベニトはベニト自身で選んだ道を進んでいるだけだ。
それでいい。それだけで十分だ。

「別に」
「嫌いなわけじゃないでしょ?」



「好き」

4/4/2024, 5:17:49 PM