微熱
私には、ずっと片思いをしている人がいる。
私の親友の幼馴染である光太郎くんだ。
二人と出会ったのは高校一年生の時。
陰気で大人しい私と友達になってくれた、親友の夏帆ちゃん。私とは真反対の人間。
そんな夏帆ちゃんを通して、光太郎くんとも出会って、今では三人で一緒に帰っている。
そんな日々が私には勿体無いくらい幸せで。
多分、夏帆ちゃんは私が光太郎くんのこと好きなのは知らない、はず。
そんなある日。
帰りの会が終わりいつもの様に夏帆ちゃんと帰ろうとした時、クラスの女子が夏帆ちゃんに声をかけた。
「ちょっと夏帆、今日委員会だって。あんた自分から入るって言ったんじゃん。」
「あー、忘れてた!」
そう言うと、夏帆ちゃんは私に向き直り
「ごめん、今日帰れない。下駄箱で光太郎待っちゃってると思うから二人で帰って!」
その言葉に、私はドキンとし、「…うん。」
と小さな返事しかできなかった。
教室を出て、重い足取りで下駄箱へ向かう。
どうしよう、嬉しいけど二人きりで話した事ないし。
何話そう。会話続くかな、緊張する。
そんなマイナスな事ばかりが頭の中をグルグルする。
というか、それよりも。
光太郎くんと二人きりで帰るって…。
ああ、駄目だ。
考えただけで顔に熱が集まる感じがする。
まるで微熱の様な、そんな感覚。
でも不快感はない。
「…熱でそう。」
11/26/2024, 2:38:41 PM