俺は、アパートに部屋を借りて二人で住んでいる。
SNSで知り合い、そして近所に住んでいると言うことで意気投合し、一緒に住むことになった。
しかし、不思議なことに同居人と一度も会ったことがない。
ニアミスは結構あるのだが、その時いつもすれ違ってしまい、顔を合わせず仕舞いで顔どころか性別も知らない。
メールで連絡を取り合っているし、家賃も折半なのではじめのうちは気にしなかった。
とはいえもう3ヶ月経つ。
いくらなんでもおかしいと思い、正直存在しないのではないかと疑い始めた。
さすが本人に確認するわけにもいかず、何か策を使うことにした。
こういうとき、一番ありきたりなのはカメラの設置である
こうすれば、もう一人の存在を確かめられるはずだ。
その日の晩、家に戻ると人の気配があった。
驚いて部屋を覗くと、バイトの後輩の女の子がいた。
「何してるの?」
「何って、ここに住んでるんですよ。先輩こそどうしましたか?」
「いや、俺もここに住んでる。っていうか同居人はお前か」
「みたいですね。初めまして先輩」
「ああ、初めましてって。そうじゃないだろ、男女で一緒に住めないぞ。間違い起きてしまう」
「え、間違いなんて起きませんよ。3ヶ月も一緒に住んで、何もなかったでしょう」
「あれ、そうなるのか。いやでも―」
「大丈夫です」
そのまま後輩に押し切られ、一緒に住むことになった。
あとでカメラを確認したが、ボタンを押し忘れたらしく何も写ってなかった。
写ってなくて正解なんだろう。
さすがに女の子のプライベートを覗くのは間違いだからな。
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危ないところでした。
先輩がカメラを仕掛けるとは。
防犯のためでしょうけど、さすがにダラダラしたりしているところを見られるわけには行きません。
データを消すだけでは、不審に思われるので、行動せざるを得ませんでした。
先輩とすれ違いを演出することで、ミステリアスな存在としてアピール。
そして機を見計らって、運命の出会いを果たす予定だったのですが、計算が狂ってしまいました。
すれ違う期間は、もっと粘る予定でしたが‥
まあ先輩と同居できたので良しとしましょう。
それにしても、的確にすれ違うために先輩の行動を把握していて、本当に助かりました
カメラを仕掛けておいて正解でした。
あとは先輩に間違いをさせるだけですね
10/20/2023, 9:28:38 AM