一介の人間

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一年後

とある三兄弟のお話。

次男より。

 あのまんじゅうの話ではないが、自分には恐ろしいものがある。一人だ、自分は一人が怖い。空間的な一人というよりも、概念的な、人と人との繋がりないという意味での一人が怖い。
 最近は、同居している兄も弟も仕事を忙しくしており、家に居るのが自分一人という事ばかりだ。正直、家の事をやるのは自分なので、家事の不得意な兄だけでないのは幸運だと思っているが。しかし、人間関係を築くのが苦手である自分にとって、関わりのある人間と言えば兄弟か同僚しかいないのだ。
 愛する兄弟がいればそれで良い...そう思えど、彼等の未来を覗き込む事はできない。いつか一人になる未来があるのではないかと恐ろしくなる。たったの一年でだって物事は変わるのだ。
 一人は、恐ろしい。まんじゅうなんかよりもっと恐ろしいものだ。せめて、せめて一年後までは、彼等と共にあれる未来でいて欲しい。

 

6/24/2024, 1:30:28 PM