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いつもより乱暴に玄関を開け痕跡を残さないよう注意しながらシャワー室へ直行する。
一刻も早くこの後悔と自分への失望の匂いから逃れたい一心で走る。
乱暴に服を脱ぎ捨て直ぐに洗濯機を回す。

シャワーのお湯で全身を流し、足元を流れる赤茶色からオレンジ色に変わるお湯を眺める。
窓を20センチ程開けていつものシャンプーのいい香りに包まれると何故か落ち着いてきた。

ここでも思い出すのは、仕事のことだった。

オレは日々の業務を普通にやっているつもりだ。しかし、周りはそうでないようだ。
上司や先輩に鼻で笑われ、話し声は全てオレのことを見下して話しているようにしか聞こえない。

オレの思い込みか?いや、違う。

オレが部屋から出たあとに大抵オレを嫌っている上司と先輩が話した後に笑い声が毎回聞こえる。
オレの方をチラチラ見ながらヒソヒソ話して鼻で笑っているのが分かるのだ。オレの周り全員が敵に見える。

会社では必要最低限だけ話し、手持ち無沙汰にならないよう仕事を見つけて真面目にやっている。

何がいけない! いつまでこの状態が続くんだ?

毎回心で叫び続けていた。

全身の泡を流しながら、この憤りは消えることは無かったのかと落胆した。

「明日世界が終わるなら」とありもしない事を考えては、現実に戻り震えが止まらない。
あと3分で気持ちを落ち着けて出よう。
もうそろそろ妻が帰っている頃だ。

5/7/2024, 4:27:48 AM