寂しさ

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いつも乗る電車
私の向かい合わせに座る彼は相変わらず今日もぐっすりしている。
普通の少女漫画か何かだったのならここで恋が始まるんだろうけどそんなこともなく、私は大きなあくびをしながら単語帳へと視線を戻す。
...いかんいかん。こんなことしてる場合じゃなかったんだった。1時間目に英単語テストがあるのだ。
昨日は単語帳を開いた瞬間に寝落ちてしまって、何も暗記できていないのだ。ただでさえ勉強できないんだから、小テストの点数でさえ命取りになってくる。
まあ、こういうのは普段からチマチマやってくべきなんだろうけども。
私は再び向かいの涎を垂らして寝ている彼、大和田くんに視線を向けた。
大和田くん。私の隣席の生徒であり、朝は電車で同じになることが多い。電車内でこれだけ寝る癖に授業中までぐっすりなんだからどんな生活リズムをしているのかきちんと聞きたくなるレベルだ。
なんなら、テストの前のあのすこーしの休み時間でさえも睡眠に充てている。あの時は流石に、このお気楽フェイスが!!と思ったくらい。
でも不思議と勉強は出来る人で、いつも学年10位以内に入っているような気がする。やっぱり夜はちゃんと勉強してるんだろうなぁ。私とは違って。
とちょっとばかし憂鬱になっていると駅に留まった。
私は急いで単語帳をリュックに入れて早足で学校へ向かった。

いつも乗る電車
俺の向かい合わせに座っている彼女は相変わらず今日も焦って単語帳と向き合っている。
普通の少女漫画か何かだったのなら恋が始まったりすんだろうな。読んだことねえから知らないが。
大きなあくびをひとつして寝る体制に入る。いつもは寝ようと思ったらすぐ寝れるが、どういうわけか今日は寝付きが悪く、寝るフリをして彼女に視線を戻した。
月曜日から辛気臭い顔をしている彼女、早坂は俺の隣席の生徒であり、朝は同じ電車になることが多い。
授業は一度も寝たことありません!みたいな顔して毎回赤点か赤点スレスレの点数を取るもんだから、そのギャップがちょっと面白い。
しばらくすると早坂が慌て始めたので、俺も起きるフリをして電車から降りた。





8/25/2023, 4:45:53 PM