雨に降られてしなしなになったダンボールの中に1匹に子猫が渦を巻いていた。
連れては帰れないがせめてもの気持ちで自分の傘を差し出し、俺は1人猫に声をかけていた。
気が滅入る毎日、最近は特に。
人間関係も荒れているし、運も悪い。
そして何より自分の感情を上手くコントロール出来ない。怒りも悲しみも。
自分の失敗を素直に認められない。
一昨日の試合だってそうだった。
それがまた周りとのズレを広げた。
小雨が傘の中に入って肩を濡らしてイライラした。
大通りを歩く恋人を見つけて余計に腹が立った。
小さなことの繰り返しなのだ。
小さな幸せをみつけようなんて言う慰めがあるが、
それよりも小さい障害につまづいてしまう。
もっと鈍感でありたかった、とつくづく思う。
ついぞ誰にも打ち明けることの出来なかった悩みが零れる。
傘を差すのを諦めると、制服は濡れたが少し気持ちが収まった。俺はようやく帰ろうと決心がつき立ち上がる。
何も出来なくてごめんなと心のうちで謝った。
そんな俺とは対照に、憧れの眼差しで子猫は鳴いた。
11/15/2024, 3:31:17 PM