せつか

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なぜそんなふうに思ったのでしょう。
空を飛べるはずもないあの方が、私には大空を舞う大きな大きな鳥のように見えたのです。

それはあの方の心も、体も、本当の意味で自由だからなのだと、白く青く、そして大きな後ろ姿を見ながら私はそう思いました。
あの方が恋した相手でさえ、あの方を縛り付ける事は出来なかったのです。私達に何が出来たというのでしょう。あの方はなにものにも縛られず、自由に舞うからこそ美しく、こんなにも私達の目を引くのです。それは決して私の憧れから来る眼差しではなく、あの方を疎ましく思う人達でさえそう思っていることに、私は気付いていました。

鳥のように自由で、鳥のように美しいあの方。
美しいからこそ手に入れたいと思わせるあの方。
憧れのまま見上げるだけの私。
撃ち落とし、手に入れようとする多くの人々。
羽ばたきをやめた時、あの方はきっとそれでも美しいままでいるのでしょう。

私が焦がれたあの方は、そんな美しい鳥のような人でした。


END


「鳥のように」

8/21/2024, 3:06:09 PM