クリスマスも間近な今日この頃。
街はイルミネーションなんて飾っちまって
浮かれ気味だ。
クリスマス一色に染まる大通りの目玉は
街路樹に取り付けられたイルミネーションだ。
青銀な明かりがキラキラと輝く。
全長およそ1キロ。
いつもカップルで賑わっている通りではあるが
この時期はいつもの比じゃない。
どこからこんなに集まりやがったと言いたくなるほど
人が多くて、真っ直ぐ歩けやしない。
自分の前をカップル達が「綺麗だね」なんて言いながら歩いてる。
イチャイチャ二人の世界ですか。
後ろがつかえてますよ。
はいはい、邪魔邪魔。
イチャイチャカップルの脇を強引にすり抜ける。
すれ違う瞬間、肩が当たったような気がする。
舌打ちもされたような気もするが、多分気のせいだ。
例えそうだとしても、こうして離れちまえば人生で二度と会うこともないカップルだ。
気にしない。気にしない。
まったく。
だから大通りなんて通りたくないのに。
行きつけの本屋へは、この道が最短なのだ。
取り寄せの本が届いたという。
店から知らせを受けたのは、朝礼を終えて間もなくの事だった。
多分自分は浮かれていたのだろう。
いつもの倍の速さで朝の仕事を片付け、昼は届いた本の事ばかりを考え、午後は定時で帰れるように過去最速の速さで書類を捌いた。軽やかに地下鉄へ飛び乗り、自宅まで一本で帰れるところ途中下車した。
足取り軽く駅構内を行く自分は、背中に羽さえ生えていたと思う。
しかし、駅の構内から一歩外に出て広がるイルミネーションに愕然とした。
クリスマス。カップル。人混み。人混み。人混み。
クリスマスの時期ここがこうなることを知っていたのに、忘れていただなんて。
浮かれていた自分が憎い。
後悔してもしょうがない。
ここを乗り切れば楽園が待っている。
人混みの合間を縫っていくと、目当ての本屋が見えてきた。
イルミネーションから少し離れた場所にあるからか、人も少ない。
自分のペースで歩けることに喜んでいると
違和感に気が付いた。
本屋の明かりがついていない。
嫌な予感に駆られて本屋の入口まで小走りで行くと、入口のガラスに張り紙がある。
「本日、機器故障により、誠に勝手ではございますが、臨時休業とさせていただきます。」
虚しい張り紙がされたガラスに、立ち尽くす自分とチカチカ光るイルミネーションが映っていた。
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こういう話を作ると、
イルミネーションに対して否定的な感じを受けるかもしれないが、私自身はイルミネーションが好きだ。
イルミネーションは、誰かを喜ばせたいという気持ちを感じる。
それに、平和だからこそイルミネーションが出来る。
そう思うと、イルミネーションが愛おしいのだ。
12/14/2023, 11:58:00 AM