「ただいま〜…あれ、啓じゃん。どしたん」
創がリビングに入ると、ソファで寝転んでスマホをいじっている啓がいた。
啓はこちらをちらりと見上げると、何事もなかったかのようにスマホの画面に戻っていく。
…なんだ?いつもの覇気はどこいった?
「けーい。こっち向いて」
啓の横にしゃがんで目線を合わせてみる。ふい、と音もなく向こう向いた。可愛くない奴め。
「ふーん…じゃあこっちにも考えがあるけど」
「は、うわ、ちょ馬鹿兄貴、」
啓ひとりぶんの重さなんてなんのその。
ひょいと啓を持ち上げて、俺が座ってからひざの上に下ろす。
暴れないでよ、さすがにひざ砕ける。そう言ったら、砕けろ、と即答されました。
「…兄貴さぁ、急に兄貴面すんのなんなの」
「そりゃ兄ですから。兄貴面くらいしますよ」
「…そーですか」
ふい、と視線を逸らしてくる啓はどこまでも可愛くない。
…その、赤くなった耳を隠しきれていたら、ね。
「啓さん。何があったの」
「…別に。あったとしても兄貴にだけは教えない」
「えー」
「…、」
「……え、」
ちらっとこっちをみたと思ったら、ぽす、と埋まってきた。
さすがに予想外すぎてとっさに反応できない。
「…えー、今日甘えたデー?…よしよし」
さらさらの髪に指を通して、頭を撫でてみる。
気に入ったらしく、これといって抵抗はなかった。
…あー…今日の雲り予報大当たりだよ、優。
「ちなみに何があったのかくらい教えてくれてもよくない?」
「…だから無理」
「えー…だからなんで…もしかして俺関連?」
「……ちげえし」
「え、ごめん。俺何した…?まじでごめん」
「…だからちげえって!!この馬鹿兄貴!」
雲り 創啓 #199
(この漢字でのくもりは気持ちが沈んでるときのことも表すらしいね。沈んでるときの啓兄かわいすぎんか。
ちなみにこれらは世界線別のつもりで書いてます)
3/23/2025, 1:43:51 PM