紅黒零茜

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「絆」

これほどまでに、苦しいと感じたのはいつぶりだろうか?
“絆”というものは非常に厄介で、癒えたと思った古傷の痛みを、ふとした時に思い起こさせてしまうのだ。
あの子が居なくなって、もう何年も経つというのに……
あの子と見た景色、あの子と食べたお店の料理、あの子と交わした言葉、あの子の香り……一度だって忘れたことはない。
そんな暖かいはずの記憶を思い出すたびに、別れの時の苦しみが込み上げてきて、心の底から痛いのだ。

3/7/2024, 6:25:14 AM