縁-えん-

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”行かないで”

ピンポーン
「はーい」
誰だろう。こんな時間に。
私は玄関のドアを開けた。
そこにいたのは大好きな彼だった。
彼は暗い顔をしていた。
「急にどうしたの?なんかあった?」
そう私が聞いても彼は何も言わない。
「上がる?お茶でものむ?」
そう聞くと彼は
「別れよう」
そう言った。私は一瞬何を言われたのか分からなかった。時間が止まったように感じた。私は何も聞かなかったように
「外寒かったでしょ。早く上がりなよ。緑茶でいい?」
と早口で言った。彼が言った言葉を信じたくなかった。
すると彼は
「ごめん、もう終わりにしたいんだ。分かってくれ。」
と言った。訳がわからない。あんなに好きだと言ってくれたのに。私しかいないと、ずっとそばにいると言ったのに。私と結婚したいと言ったのに。おばあちゃんおじいちゃんになるまで一緒にいようと言ったのに。
「どうして?私の事好きじゃないの?他の女の子と遊んでもいいよ。最後に私のとこに戻ってきてくれたらいいから。ね?見て見ぬふりするから。だからお願い、別れようなんて言わないで。私は貴方のそばにいれたらそれでいいから、私には貴方しかいないの。」
「ごめん。」
彼はそう言って出ていった。



行かないで。

涙を流しながら
そう呟いた時には彼は部屋にいなかった。

10/24/2022, 12:05:17 PM