『半袖』
「今日暑いね」
「溶けそう」
『それな』
「今日何着てく?」
『半袖着てこ』
OKという音声とともに、可愛い絵柄のスタンプが送られてきた。今日はあいつと遊ぶ。
最近、連絡が取れていなかった。久しぶりにLINEが来たと思ったら「遊ぼ」とだけ書かれた白色の吹き出しが届いた。もちろん普通の人なら急に送られてきたLINEに驚き一息ついてから返事を送るだろう。だが、私は一瞬で判断を決めていた。
地方出身の私とあいつは、学校が同じだった訳では無い。たまたま同じ地域のバスケットボールクラブに所属していたのがきっかけだ。そのバスケットボールクラブで私たちは苦楽を共にした。集合場所は当時から、通いに通いつめたコロッケ屋であった。色んなことを考えながら、私は新幹線に乗った。東京から地元への切符だ。私たち二人の再会を祝うような爽やかな風が吹いていた。
ノースリーブに、ショートパンツ。だらけきった格好でふとテレビをつけた。食べようとしたアイスはダラダラに溶け始めている。
[昨日から、行方不明になっている―さん。警察は再度、情報提供を求めました。]
ははっと笑いながらテレビを消した。隣合った彼女は、私のよく見なれた横顔だった。2人で笑い合える日々は永遠になった。
5/28/2024, 11:35:36 AM