泥(カクヨム@mizumannju)

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『冬は一緒に』

夜、好きな人と電話をしていた。さすがにうとうとしてきた頃、向こうからはしゃいだ声が聞こえてきた。何かと思い尋ねると、雪が降っている、と弾んだ調子の声が返ってきた。そうとう嬉しいらしい。彼はまだ子供なのだと思うと、妙なくらいに愛おしい。雪だるま作れるかな、かまくら作れるかな、雪合戦したいな、と楽しそうに話す向こうの声とは裏腹に、私はなんだか寂しかった。無性に寂しかった。何が、とかの宛がないのだ。考えてもわからず、適当に彼の言葉に返事をしていた。そうしていると、やけに耳にするりと入ってきた言葉があった。

「明日一緒に帰ろう」

一体、どんな文脈でそれが出てきたのか、見当がつかない。逆にいいの、と問うてみると、

「冬は一緒にいる人がいないと寂しいからね」

なんて、なんとも思ってなさそうな声で返事が来た。
罪な人。私の想いも知らないでそういうことを言うんだ。
でも、もうそこに寂しさなんてなかった。

12/18/2024, 12:11:52 PM