「秘密の場所」
俺の小学校には、自称・魔女の女の子がいる。
みんなは怖がったりバカにしたりしていたが、俺はなぜかその子が気になって仕方なかった。
ある休日、たまたま街中でその子を見かけ、不意に追いかけた。
街をぬけて草むらの中に入っていく、進むにつれ草は俺の身長よりも大きくなっていく。
すると、急に辺りが開けて1軒のレンガ造りの家があった。
その子はその家に入っていった。
ぼーっと眺めていると、玄関からその子が出てきて、俺に手招きした。
気づかれてしまい焦ったが、恐る恐る家に入った。
「あ、あの。お邪魔します…。」
「どうぞ。…手、貸して。怪我してるから。それくらいなら私でも治せる。」
「え?」
見ると、手の甲に切り傷があった。さっきの草むらで怪我したのだろう。
その子が、俺の手の甲に手を当てて少しすると、スパッと切れていたはずの皮膚が綺麗に繋がっていた。
「え!?」
「学校のみんなには内緒にして欲しい…。家の場所も。今日のことも。」
それ以来、彼女の秘密とあの秘密の場所は俺の秘密になった。
3/8/2025, 11:12:53 AM