B5版なっつ

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『名前がなければ』

色のある世界とはどんなものだろうか。

私が産まれた時には、既に色は消え去った後だった。もっと正確に言えば、色の名前が存在しなかった。それどころか、つい最近まで“色”という言葉自体さえ、誰一人として知らなかった。
一体誰がこれを“色”と名付けたのか。

「空にはどんな名前の色が合うんだろう」

日が落ちると暗くなり、朝とは明らかに違う雰囲気になる。
毎日同じような感じだけれど、毎日違うような気もしている。
明るいか暗いか。他にも名前はあるはずなのに、名前がわからないが故に“色”の存在を認識できずにいることが悔しかった。

色がある私の知らない世界に、今日も夢見て空を眺める。

4/18/2024, 5:17:31 PM