『夢が醒める前に』
 嫌悪感が
 罪悪感が
 腹から喉へと
 喉から口へと
 せり上がってきては溢れ出す
 世界の色が褪せていき
 音もだんだん遠くなる
 モノクロの世界
 チカチカと点滅を繰り返す視界の中で
 独り漠然と思考する
 (またか
 またこれか
 またこの夢か……っ!)
 喉が締め付けられる
 目に力が入る
 鼻が痛い
 口が震える
 びちゃびちゃと粘着質な液体が
 全身の穴という穴から
 快楽を伴って零れ落ちた
 自分自身を蔑み罵る
 「だからお前は屑なんだ……ッ!!」
 ──────リリリン!
 ────リリリリリン!
 ──ジリリリリリリン!!
 (あぁ……やっと宵《酔》を抜けられる)
 
3/20/2023, 10:36:38 AM