赤い糸
ほつれた糸
「さっきから気になってんだよな」
と私のお気に入りの服を手にした彼
刺繍部分の赤い糸が垂れ下がっていた
「あっ、ほんとだ」
右の臀部。何も言われなくて触られると
頬をひっぱたいてしまうデリケートな場所
「これ以上、垂れたら嫌だから切って」
ハサミを彼に渡す
「いいの? 触るよ」
糸を手に取り、服を破らないように
慎重に糸だけを切ってくれた
「ありがとう」
こんな細かい場所、気になってたんだ?
そう思いながら、クスリと笑った
私の顔を照れ臭そうに見つめる彼の顔を
見つめる私
私達の赤い糸は切って欲しくないなぁ
素直にそう思った
6/30/2024, 1:45:11 PM