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ひとりきり



空を割くような稲光が夜の闇を引き裂いた。
夏の終わりを告げるように轟く雷鳴は豪雨を引き連れて生暖かく熱を持った大地を潤していく。

始まりはいつも雨。
終わりもまたいつも雨。

今宵の鳴り響く轟音が終わりの鐘を告げ終わる頃に
暑く厳しい夏が終わり、徐々に肌寒い風と共に次の季節へとバトンを渡すのだろう。

窓辺に佇んでベランダに立つと横殴りの雨が頭から足先迄を容赦なく濡らした。

雨と共に風と共に嵐と共にこの胸に吹き荒ぶ荒れ狂う悲しみを連れて行け。

見渡す限り外には誰も居ない。
誰も彼もが寝静まる、静寂の中稲妻だけが支配する世界でひとりきりで立つのは私だけ。

全てを流した明日には
遠かった雨雲が晴れやかな秋晴れと共に新しい私を連れてくる

9/11/2025, 2:20:10 PM