【月に願いを】
10歳の頃、
オレは月と星に恋をした。
好奇心旺盛で無邪気だったオレは
毎晩 夜空を見るのを楽しみにしていた。
ギリシャ神話の星座、ロケット、宇宙人、UFO…
宇宙の世界に心をはずませ
望遠鏡で夜空を眺めながら
将来、宇宙飛行士になるのを夢見ていた。
…夜空を見上げていると
今でも10歳の頃の自分を思い出す。
成人し、働きだしてから
仕事、家事、時間と金に追われ、
それに時代も変わりスマホばかり見て、
夜空を見上げることが無くなった。
窓から外を見ようとしても
建物と明るい街灯で夜空が見えなかった。
旦那がたまに「外へ歩こう」と言って
月を見に歩く時がたまにあるが
街灯が明るすぎてその月が淀んで見え
綺麗に見えないのだ。
月を見るのなら
あの10歳の頃に毎日眺めた月を見たい。
いや、あの頃には星も一緒に輝いて見えた。
街灯の明るくて眩しい光がいくつもあると
月と星の眩い輝きが負けて見えなくなってしまう。
もしまたあの輝いた夜空を眺めることが出来るのなら
また月と星に恋をして、将来を夢見たい。
成人して諦めていた10歳の頃の夢を
もう一度思い出したいのだ。
もう一度 オレは、
…いや、『僕』は、
僕は、月と星に 恋をしたい。
5/26/2024, 1:33:15 PM