猫とモカチーノ

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幼馴染の千春。

子どもの頃は当たり前に毎日一緒に居たし、手を繋ぐのも当たり前。
なんならお風呂も一緒に入れられていた気がする。

小学生の頃だって、学校が終わるといつも公園に集合して遊んでいた。

お互い、思ったことはなんでも素直に言ってたし、気を遣わない関係。

誰がどう見ても仲良しで、このままずっと一緒にいるんだろうななんてことを思っていたのに。

「そういえば俺、彼女できたんだよね」
「えっ……」

大学生になって、遠くの大学に通うようになった千春と久々にランチをしていた時のことだった。

世間話をするようにしれっとそんなことを告げられて、言葉に詰まる。

「同じ大学の子でさ。思い切ってアタックしたらなんかうまく行っちゃって」
「へ、へぇ……。そうなんだ」
「なんだよー。兄妹が取れられみたいで、寂しくなっちゃった?」
「そんなわけないじゃん!いい彼女さんができてよかったね!!」

(兄妹、か……)

「私にしなよ」とか「私は兄妹みたいだと思ってなかった」とか、言いたいことはたくさんあるはずなのに言葉にならない。

子どもの頃は素直に言えたはずなのに。

最後まで言えなかった私は、彼女さんに気持ちを伝えられた千春と違って、まだ子どもなのだろうか。


お題『子どもの頃は』

6/24/2024, 1:46:22 AM