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「こんな所に、夕日が見える場所なんてあったっけ?」

「あるよ、ほらこっち」

似たような会話を、かれこれ10分くらい繰り返しながら、貴方の後ろを半信半疑でついて行く。

社会人になってまだ1ヶ月も経ってないあの頃、慣れない仕事、人間関係ですこし心が沈んでいた。

唯一の救いは、高校からの友達だった貴方が、私と同じ職場の同僚として働くことになっていたことだった。

貴方は相変わらず、マイペースな性格で、でも仕事内容は私よりも先に覚えられてしまった。少し、悔しい。

そんな貴方とその日、2人だけで飲みに行くために仕事を早く終わらせたと言うのに、貴方が夕日をみたいだなんて言うから、渋々貴方についていっていた。

坂道がやけに続いていて、私は息を上げてもう一度貴方に聞いた。

「ねぇ、いつになったら着くの」

「もうすぐだって」

見たこともない足場が悪い小道を歩かされて、さらに5分立った時、

「ほら」

急に視界が開けたと思ったら、大きな太陽がもう少しで沈み切ってしまう景色がはっきりと見えた。

どうやらここは小さな山の上らしく、小さなベンチも丁寧に配置されている。

「ね、来たかいあったでしょ」

貴方はドヤ顔をしながら私を見る。

「まぁね」

「じゃ、ここでやりますか」

なんて言う貴方を不思議に思うと、貴方のカバンから幾つかお酒が出てきた。

「冷えてないけど、うるさい所、苦手だからさ。ね?」

やっぱり貴方は、昔から何も変わっちゃいない。

私だって、そんな貴方を許してしまうのだから、きっとなにも変わってない。

沈む夕日は、そんな私たちを静かに見守っていた。

4/7/2026, 11:46:51 AM