ㅤそれはあなたの声。
ㅤ独特の響きが私を震わせ、水の中のように距離がわからなくなる。ありふれた名前さえ異国のメロディに変えてしまう。
ㅤそれはあなたの瞳。
ㅤ決して無理強いはせず、けれど断るなど思いもしていない視線が、私をやんわり動けなくする。隅々まで痺れさせてしまう。
ㅤそれはあなたの手。
ㅤ青白い肌の上で指先が踊り、朱に染め変えてはうずくまる。開かれた私の心は、たやすく追い抜かれてしまう。
ㅤ風のない夜は、あなただけの私。
ㅤ甘く苦しい魔法にかかりにくる私。
『魔法』
2/23/2025, 11:20:11 AM