No.9:永遠の花束
「これ...ドライフラワーか?」
「そうそう」
僕はある時、贈り物を彼にした
それも”白色の彼岸花“のドライフラワーである
渡した時、彼がとても訝しげな顔をしていたのをよく覚えている
「...何で俺に花なんて...」
「おや、ドライフラワーの方に突っ込むのかと思っていたよ」
「花もドライフラワーも変わんねぇだろ」
そう言って、彼はマジマジと彼岸花を見詰める
「ふふっ、でもドライフラワーなら、君が忙しなくお世話する必要も無いし」
楽だろう?
っと小首を傾げれば、「まぁ確かに...」っと腑に落ちてる様な無いような反応が返ってきた
「それは日当たりのいい所に飾るといいよ」
「ふん、飾るか飾らないかは俺の勝手だろ」
「またまた〜」
そうは言うものの、僕があげたキーホルダーを、今もカバンに付けていてくれている事を知っている
...だから、渡せたのかもしれない
「...んまぁ、せっかくだし貰っといてやるよ」
「ふふ、ありがとうね」
彼岸花を持っていた袋に居れるのを見ながら、僕は微笑んだ
__伝わらなくていい
ただ、受け取ってくれるだけで良かった
「__、__」
「あ?なんか言ったか?」
「いいや?何も言ってないよ」
そう言って、僕は歩き出す
彼が贈り物の意味を、知る事がありませんようにと
理性的な僕が祈る中で
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花言葉(一部抜粋)
ドライフラワー:永遠の愛
白い彼岸花:あきらめ、思うはあなた一人、
2/4/2025, 11:09:54 AM