『その澄んだ瞳を…私に向けないで…』
私を置いて、消えてしまった親友。
あの日あの夜、親友は自宅のマンションで首を吊った。
自殺…らしい。
親友は学校でいじめられていたらしい。
私は親友とは高校まで一緒だったけど、
なりたい職が違って、それで大学は別々だった。
私が、私が大学も親友と一緒の所へ行っていたら。
きっと結末は違ったのだろうか。
親友の結末も。
私の、結末も。
現在、私は檻の中に居ます。
そして今日の夜中3時、刑が執行されます。
だから最後に死んだ貴方に手紙を書いています。
私は貴方が亡くなったと聞いて、居ても立っても居られなくって、大学のツテから貴方を虐めていた犯人数名を特定し、殺しました。
随分と貴方を痛めつけてくれたようだから、何倍にもして返したわ。
人間って脆いね。
貴方の痛みを知らずして、アイツらは滑稽に死んでいったわ。
……貴方はこんな事望んでなかったって分かってる。
刑が執行されたところで、私は貴方と同じ天国へ行けると思ってない。
お別れね。
ありがとう。さようなら。
刑が執行されて、私は今地獄に居る。
でも何故か、貴方は私の隣に居る。
『どうしているの、』
そう問いかけても、親友は何も言わない。
何も言わずに、私の目を見ている。
『その澄んだ瞳で私を…見ないで…』
あの日死んだ親友の気持ちが、やっと分かった。
そんな気がした。
7/30/2024, 12:06:10 PM