『親愛だったあなたへ
あなたのことだからたぶん私からの手紙なんて読まないとは思うけど、それでいいわ。
私があなたに手紙を送った理由、それはあなたが救世主になるチャンスをあげるため。
あなたは私を殺して、これで世界が救われた。これで人類の敵はいなくなったと思い込んでいるはず。
でもねえ、実はそうでもないの。
あなたが溺愛している妹……。確かあなたは拾った子だって言ってけど、あの子本当は私の娘なの。
私の血を引いているから、そう遠くない未来には私と同じように異形の怪物に変身し、本能のまま、欲望のままに世界を蹂躙するでしょう。
でも今ならまだ間に合う。
あなたの妹を殺しなさい。そうすれば本当の意味で
この世界は救われる。
治療も特効薬も無いことなんてあなたはとっくにわかりきっているでしょう?
私が人類の敵だとわかった途端、態度を変えて私を殺そうとしたんだもの。妹を殺すことぐらい簡単よね。
あの世から娘に会えるのを楽しみにしているわ』
残された手紙にはそう書いてあった。
差出人はかつて兄と仲良くしていた人。
……ああ、兄がこの手紙を読んでいたなら。
それか私がもう少し早くこの手紙を見つけていたならこんな結末にはならなかったのに。
2/3 追記
テーマ、「残された手紙」だと思ってたら
「隠された手紙」だったのですね……
……うひー、やっちゃった!
2/2/2025, 12:03:20 PM