Ayumu

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 目が覚めて身を起こすと、思わず目の端に指を置いた。

 泣いている……。

 内容ははっきりと覚えてはいない。けれどひどく悲しい夢を見た。きっと「身を引き裂かれる」というのはこういう感覚なのだろう。
 まるで大切ななにかと離ればなれにでもなってしまったかのよう、いや、それ以上の衝撃が全身にまとわりついている。

 そういえば、誰かに、必死に呼ばれていたような……。

 もっと思い出そうとした瞬間、胸元がきゅうと苦しくなって咄嗟に右手で押さえてしまった。警告でもされているような気分になるのもまた、不思議でたまらない。

 もう一度眠れば、また「誰か」に会える……?

 会わないといけない気がした。明確な理由もなしに思うことこそが、一番の証明だった。


お題:こんな夢を見た

1/23/2023, 4:20:08 PM