心の境界線(TOV)注:腐向け
出会った当初、馴れ合わないのはお互い様だった。
レイヴンは成り行きで一緒に旅をしていて、何をしている何者かもわからない、胡散臭いおっさんだった。
俺の方に秘密はないが、特に話す機会も必要もなかったし。
仲良くなる必要もなく、特に知りたいとも思わなかった。
それが、いつからだろう。
レイヴンが、あからさまに線を引いているのがわかるようになった。
旅が長くなるにつれ、皆の背景も正体も否応なくわかるようになっていて。
で、おっさんは?という風になるのは当然だろう。
確かに正体は判明した。ギルドの人間だと。
けれど。
まだ何かある。
知られたくないのか、時々のらりくらりと話を逸らす。
とても心を開いているような親しげな雰囲気で、煙に巻く。
(何を隠してやがんだ、おっさん)
隠されると、逆に気になって仕方がない。
自分は本来、来るもの拒まず、去るもの追わずで、人が嫌だと思うものまで暴こうとするタチではない。
なのに。
その線の内側に何があるのか。
どういう人間ならその内側に入れるのか。
知りたいと思ってしまう。
自他の境を常に意識するという意味での境界線は大事だろう。
しかし、心を閉ざしている境界線は問題だ。しかも、何か暗いもの、もしくはとても柔らかいものが隠されているようで、見ていて少しハラハラするのだ。
(それを明かしてもらえる人間にゃ、まだ足りねぇってことなのかな)
歳の差も、経験の差も、知識の差も、かなりある。
今の自分が何か言ったところで、明かしてくれるビジョンは全く浮かばない。
己の不甲斐なさを自覚し、ユーリは肩を落とした。
とはいえ、色々と、追いつけないとは思っていない。
(いつか、暴いてやるからな)
内心、そんな決意をしていたのであるが。
その内側にとんでもないものを隠しており、もっと先に暴いておけば良かったと後悔する日が来ようとは、この時のユーリに知る由もなかった。
11/9/2025, 12:15:45 PM