Morita

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「昨日寝てない」
「えー」
「ゲームしてた」
「うそ。今日テストなのに?」
「うん。どうしてもやりたくなって」
「珍しい。なんのゲーム?」

美来はふと口をつぐんだ。私から目を逸らし、つぶやくように、

「『もしも未来を見れるなら』」
「え?」
「そういうゲーム」

一体どんな、と美来に聞こうとしたちょうどその時、教室に社会科の平川先生がやって来た。一限は日本史のテスト。

鎌倉時代に今川義元に壬申の乱。

大事な期末テストなのに、解答欄を埋めながらも頭はさっきのゲームのタイトル。

いつも真面目に勉強している美来を夢中にさせたそれは、一体どんなだろう。

ふと顔を上げる。あれ、と息を呑む。
教室の時計がおかしい。針が五本に増えている。文字盤も0から32まで数が振られていて。

気のせいだよね。テスト用紙に目を戻す。あれ。先ほど回答した文字がねじれる。兼倉寺代にラ川我π、+田ノ舌し……。


【お題:もしも未来を見れるなら】

4/19/2024, 11:56:53 AM