誰かを愛せる人になりたかった、とクリスマスやバレンタインが来る度に清水は思う。思いやり、心からの気遣いで誰かを元気づけられたらいいのに。清水が愛を語るとき、すべては仮定だ。私が誰かを愛しているなら。人間に不可欠な愛の穴を埋めるために、毎月清水は寄付をする。お金だけでなく献血やヘアドネーションで誰かに幸せになってもらいたい、と思おうとする。だが、清水が与えられるものは物理的なものだけだ。実のところ清水は誰の幸せも祈っていないのだから。
12/13/2024, 9:51:46 PM