つぼみ@小説練習

Open App

『優しくしないで』

私の初恋は桜のように散っていった。

私が好きだったのは隣の席の彼。
彼は気遣い上手で優しくって趣味もあう、最高の人だった。
そんな彼に惹かれたのは仕方がないと思うの。

いろんな話をして、どんどん仲良くなった。
「女子で一番仲が良いのはお前かも」なんて言葉まで貰った。
期待してしまった。

彼のことが好きになってから二年。
たまたま隣の席になって話すようになり、恋をした。
たまたま隣の席にまたなった五月の今日。
彼に彼女ができた。
彼女ができてしまったのだ。

自分の心に嘘を付きながら彼に「おめでとう」っていった。
だって、彼の方から告白したらしいから。
泣きそうになるのは家まで我慢した。
悲しそうな素振りすら見せないように頑張った。

だって私は、彼の一番仲の良い異性の友達だから。

だからもう、私に期待させるようなそんな素振りを見せないで。
もう、優しくしないで。

せめてこの気持ちを乗り越えるまでは。

5/3/2022, 8:23:40 AM