猫頭魚子

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いらっしゃい。外は雪が降っていますね。足元、大丈夫でした?ふふ、よかったです。

ささ、温かいコーヒーでいいですか?
すぐにお淹れいたしますね。

え?ああ、ミルクもありますし、お砂糖もありますよ。
あとでお好きなだけ入れてくださいね。
まずは暖まらないと。今暖炉も火を強めます。
膝掛けはいりますか?足元の籠の中に入っていますからね。そちらもお好きにお使いください。




暖かくなってきましたか?それは良かった。
コーヒーもお口にあったなら良かったです。
なにぶん、久しぶりのお客様なもので…。

ああいや、余計なことを申しました。お忘れくださいな。


それより、こんなに寒い夜にわざわざ足を運んでいただけるなんて、不思議なことです。
何かこの辺りに用事があったのですか?


私に?


面白い事をおっしゃるのですね。
こんなしがないカフェの店員に、こんな天気の中会いにくるりゆうがどこにあるのですか。
ああ、そう言えば焼き菓子を出しておりませんでしたね。お供があると、コーヒーがより一層美味しく感じると思いますよ。


焼き菓子にはね、桜を練り込んでいるのです。
春が来れば、こんな寒い日が来ることはないでしょうから、それを祈って。



あなたが、私に会いにきたのもそのためでしょう?




けれどね、私にどうにかできることではないのですよ。だって、最初から私を頼らず、むしろ穢してきたあなたたちが、自分たちが面倒を被るからと言って季節を春にしてほしいなどと言われたところで、誰が叶えてやれましょう。


さあ、コーヒーと焼き菓子を食べたら少しお休みなさいな。
目が覚めた時には、私はもうここにはおりませんがね。


【とりとめもない話】

12/17/2024, 2:57:19 PM