—スタートラインのそばで—
「将来の夢は、オリンピックに出場できるような陸上選手になることです」
小学生の頃、みんなの前でスピーチを読んだのを覚えている。
当時から俺は、誰にも負けない足を持っていた。毎日コツコツと練習を続けて、中学生の時は全中に出場できた。
このまま努力を続ければ夢が叶う、そう信じていた。
悲劇は、高校一年生の時におきた。
俺は、交通事故に遭った。
日常生活に支障はないが、全力で走ることはできなくなった。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
それでも陸上部はやめなかった。
皆のタイムを測り、フォームを見る。
最初は胸が苦しかった。
でも、俺は気づいた。
誰かのタイムが少し速くなるたびに、悔しさよりも先に、嬉しい気持ちがやってくる。
俺はもう走ることができない。
だから夢を見てたい。
昔に描いた、大舞台で走る夢ではない。
陸上の中で生き続ける夢を。
お題:夢を見てたい
1/14/2026, 5:26:53 AM