むぎちゃ

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『秋色』

昨夜、虫が鳴いていた。
そんなの田舎のここではいつものことだけれど、
昨夜は確かに季節の変わり目だった。
浅い夢とこの世界の狭間で私は確かにその声を聴いていた。
朝起きて自室を出る。
ああ、もうここに夏はいないんだ。
ささやかな陽の光と少しひんやりとした心地良い風。
夏の終わりを知るのはいつも、彼の姿が見えなくなってからだ。
世界はすっかり秋色に染まっていく。
やっぱり少し、寂しい。

9/19/2025, 4:15:07 PM