イルミネーションで飾られた街並みを歩くとき、いま幸福でない人たちのことを考える。久世くんについて想いをめぐらせる。
この景色は僕が死にかけたときに見た光景と似ている。
高校生のとき車に轢かれた。そして目が覚めたら華やかな光に囲まれていた。
僕は死ぬのだ。
怖くはなかった。ただ綺麗だ、と思って辺りを歩いた。
そこに久世くんがいた。
久世くんは小学生のままの姿で、体育座りをしていた。
薄汚れた服を着て、いろんな色に濁った痣が光になり損ねたように肌にこびり付いていた。
「久世くんが迎えに来てくれたの?」
久世くんが光った。
僕が光の洪水を浴びて目を瞬いた隙に久世くんも光たちの一部になった。
僕は泣いた。気づいたからだ。
この光の群れは久世くんのように死んだ、踏みにじられた命たちなのだ。
嘘だ。それは僕がそう思いたいだけに過ぎない。
最期に彼が救われたなんて幻想を抱くことは、彼にとって最も残酷なことではないのか?
嘘つきめ!
僕は病室で目を覚ました。
以来、イルミネーションを見ると僕は複雑な気持ちになる。
それでも制限時間内で精一杯はたらくのだ。僕はみんなに希望を与えるサンタクロースなのだから。
12/14/2024, 10:00:18 PM