無音

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【87,お題:どこまでも続く青い空】

「お前が居るこの場所が、俺の故郷だから」

旅立ちのその日、お前は太陽みたいな笑顔で笑って言った

「俺は帰ってくるよ、絶対に」

「ああ、分かってる、お前が嘘は言わないってことぐらい」

カラッと澄み渡った美しい空、どこまでも無限に広がる青い空
旅立ちにはぴったりな天気だ

「ほら、早く出た方がいいんじゃないか?ここら辺は天気が変わりやすい」

「そうするよ、じゃあ行ってくる」

「気を付けてな」

「きっと帰ってくるからな」

大きく手を振りながら笑うその顔が、どんどん遠ざかっていく
幼い頃からずっと支えあって生きてきた、俺の半身のような存在
親友であり、家族であり、大切な仲間だ

そんなお前が決めたことなんだ、俺は応援するよ

「寂しくなるなぁ...」

誰にも聞こえないように呟く
ずっと一緒に生活してきたから、1人になるなんて久しぶりだ

でも、

「お前は嘘は言わないもんな」

このどこまでも続く青い空のどこかで、お前が元気に過ごせているなら
俺はそれで構わない

「絶対帰ってこいよ」

親友が遠ざかっていった、地平線の彼方を眺めて
青年は誇らしげに微笑んだ

10/23/2023, 10:16:50 AM