授業を終えて、部活を終えて、仕事を終えて、
ふと外に出ると風が吹く。
いつもと変わらぬ風が、その時の空気を含んで、包んで。
私はその肌を刺すような涼しい風を浴び、
たまにふと思うことがある。
あの時の風はどのようだったか。
生まれて間もない私に風というものを教える風、入学式の吹雪のような桜のドレスを装う風、受験の日の不安に満ちた寒空の下の湿った水色の風、結婚式の新たな生活が始まることを喜ぶような風、あの人が死んだ日の信じられなくて、それでもいつも通り素知らぬ顔で通り過ぎる風
それは抱き込んでくれるように暖かい時もあったし、突き放すように冷たい時もあったはずだ。
では、今後来るのはどんな風だろうか。
私の子供が初めて感じるのはどんな風?
その子供が立ち始め、入学式、卒業式、受験を終え、独り立ちした時の風はどんな風?
私の大切な人が死ぬ時の風は?
そして私が最期に感じる風はどんな風?
取り止めのない考え事をしながら、今日も風に吹かれる。私の存在が風の中を揺らぐのを感じる。私の身体には時間にも空間にも限界があるのに風はずっと吹き続けるって少し不思議だ。私は感覚を抱くのに、その感覚はいずれこぼれて風に紛れてしまう。
風に身を任せるままに、私は風をただ感じることしかできない。だけど風に吹かれる時、私はこの身体の窮屈さを忘れることができる。揺らぎの中で、私は私という存在を忘れている。きっと来るその日も私は風に任せることしかできないだろう。
5/14/2026, 1:47:41 PM