また、夢を見ていた。
夢の中にいる私は塔に住んでいた。
「きみは特別だから、ここに住んでいるんだ」
「外は危険だから、出ようだなんて考えてはいけないよ」
何度も繰り返し語るお父様に反抗しようだなんて思ったことがなかった。
夢が飛ぶ。
ある日、お父様は男の子を三人連れてきた。
「きみのツガイになる子だ」
そう言って紹介された男の子二人より、紹介されなかった黒い羽の男の子が気にかかり、私は彼に話しかけることが多かった。とはいえ、他人と関わったことなどないに等しい私は彼にイジメのような態度ばかりとっていた。
冷たく当たっても、酷いことを言っても、彼はずっとニコニコして、私の後ろを忠犬のように付いてきていた。
夢から覚めた。
「どうかしたか?」
私が眠るベッドの傍にいた恋人は私の頬を撫でた。その手はとても優しくて、私は彼の手のひらに頬擦りする。ちゃらっと、首輪から伸びる鎖が音を立てた。
「夢を見ていたの」
「そう」
真っ白な壁で囲われ、窓ひとつないこの部屋は夢の中に出てきた塔の中のようだ。
「外は危険だから、出ようだなんて考えてはいけないよ」
夢の中で何度も繰り返し語るお父様によく似たことを語る恋人は、夢の中の忠犬によく似ていた。
11/21/2025, 12:39:32 PM