ーーー朝、目覚める度に思う。あぁ、また無意味な1日が始まるのだと。
ひらり、ひらり。
楽しげにスカートの端を翻してはしゃぐ彼女。
その後ろを、僕はゆっくりとついていく。
彼女が笑う度に、僕は泣きそうになって。
彼女が振り向く度に、僕はそっぽを向いて。
彼女が話す度に、僕は手短に言葉を返した。
ずっと、こんな日が続くと思っていた。
いつだってありきたりで、平凡で、何気ない日々を、一緒に歩いていくんだと思っていた。
”あの日”までは。
ーーーねぇ。
ーーーん?
今日は、どんな話をしようか?
……そうだな。 ”さき”の話が聞きたい、かな。
勿忘草(わすれなぐさ)
2/2/2023, 2:33:18 PM