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生まれ育った場所は都会ではなかった。3階建ての学校が一番高い建物で、平日昼間の電車は1時間に1本、朝なら3本、バスもそれくらい。本屋は2店舗。車なしにいけるのは1つ。どちらも、もうなくなった。文房具屋とおもちゃ屋は、知る限りで1軒ずつ。おもちゃ屋はもうない。総合病院はなぜか2つ。小学校が6つ。中学校が6つ。高校は市立が1つ。ということは、わたしが感じていた以上に人はいた。まあしかし、都会ではなかった。
国道は通っていた。
そうして、ショッピングセンターができた。
わたしは店主の視線を感じず品物が見て回れる広いフロアが嬉しかったし、新しくて明るくて、品物はどれも素敵に見えた。
便利だと思った。
親戚の酒屋が何でも屋のようになっていくのも、たまに遊びに行っていた友人の肉屋が閉まりがちになったのも見ていたけれど、便利になって綺麗になって、新しい商品もたくさん入ってきて、そっちのほうがよかった。
でもたぶん、すっかりつまらなくなったと思っていた人もいるだろう。生活を見直さなければならない人だってたくさんいただろう。
大きな資本が入る、ということは、そういうことだと思っていた。生活の中で嬉しい部分もある。生活が破壊される部分もある。

で、エイプリルフール。
特にオンラインで見れるエイプリルフールに乗じた広告は、視界に入るどれもが、全くつまらないか、全くつまらない上に差別的な価値観を強化してしまっているかで、ここ何年かは4/1はぐったりする。
資本が入ったのだから、様々なものが破壊されたでしょう。それで、嬉しい部分はどこにいってしまったのだろう。嬉しい部分を見つけている人もたぶんどこかにはいるのだろうけど。

4/1/2024, 2:41:38 PM