アルミ合金のムニエル

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大好きな君に

拝啓、大好きな君に。
放課後の教室で雑巾を絞った時、夕焼け空を透かした妙な色味のカーテンが作る影に隠れたそれを、いまだにずっと大切にしています。
階段の踊り場で転んで、リコーダーを落として急いで拾ったこともありました。廊下を突き抜ける風に合わせて、無限にあいこになるじゃんけんを繰り返して、ケタケタと笑っていたこともありました。オリジナルの小説とイラストを丁寧に書き殴った複数冊のノートは、もう燃えて無くなっているのでしょう。しかしそのずっと前の話。だれかの置き傘の一つが、あなたの手に渡りました。私はそれがとても憎かった。
公園の轍を通って枯れ葉を踏むだけで、靴底に張り付いた憂鬱な感情ばかりが停滞しているこの頃です。
敬具、昔取り憑いていた背後霊より。

3/4/2026, 12:05:57 PM